今夜は 何処で寝ようか
適当に 探せばいゝ
目を閉じたって 目処が立つわけじゃない
わかっちゃいるけど そろ?潮時みたいだ

絵具をこぼしたような空は
夏の了りを 示唆してた
臙脂色の陽に 黒い送電線
残りの時間は もう多くない

嗚呼 憧れていた
逞しさには 届かなかった
粋な台詞も 今はきかなくていゝ
さあもう 灯を消して

取り繕いぶら下げた
似合わない青春を
江戸川乱歩 二葉亭四迷
並べてみたけど 矢張り悲しくなるだけ

他人は笑うかも知れないが
確かに 生きていたんだ
何をやっても無駄だったけれど
其れでも諦め切れなかった

嗚呼 この悔しさも
チラシの裏にすら 伝えられないまゝ
アリバイ作りの 絵なら描かなくていゝ
さあもう 灯を消して

ふと目を醒ました
波の音が聞こえた
残り僅かの蚊取り線香
朧月に照らされて

嗚呼 憧れていた
正しさには 届かなくても
明日の寝床は 明日探せばいい
さあもう 灯を消して
たとえ今日の嘘が 残っていたとしても
さあもう 灯を消して

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